無効とならない遺産分割協議書の書き方とは?


遺産分割協議書とは、全ての相続人が参加した遺産分割協議において合意にいたった内容を書面に取りまとめた文書のことです。 
相続が発生して遺言書もない場合、相続人が2人以上いれば誰がどの財産を相続するのか決めなければいけません。

遺産分割協議書には相続人同士の合意内容を明らかにした契約書としての機能と、法務局や金融機関などに対し合意内容を証明する証明書としての機能があります。
遺産分割協議書がないと、被相続人の不動産・預貯金・株式などの名義変更の手続きができません。

また、原則として全員の合意なく内容変更はできませんので、後になって「やっぱりこの財産の分配じゃ納得いかない」などいった蒸し返しのトラブルを回避する効果もあります。
相続人が複数いる場合には、必ず遺産分割協議書を作成しなければいけません。

今回は、遺産分割協議書の正しい書き方について名古屋・岡崎市税理士法人アイビス 相続サポートセンターが解説します。

遺産分割協議書の書き方のポイント

一度締結してしまうと遺産分割協議書の内容を変更することは基本的にできません。
遺産分割協議書を一部の相続人だけで作成した場合や、相続人でない者を加えて作成した場合には協議書としての効力を有しません。

また、遺産分割の前提となる財産に誤りがあれば遺産分割の無効を主張されるリスクもあります。
遺産分割協議書の作成は十分慎重に行う必要があります。

◆相続人全員の合意が必須

遺産分割協議書には、相続人全員の合意が必要です。

遺産分割協議書を本来相続人になるべき人の合意がないまま作成しても、無効となってしまいます。
必ず戸籍を調査し、相続人を確定してから遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議を行う期限は特に決められていません。
しかし、遺産分割を先延ばしにすると各種の名義変更や相続税の手続きで不都合が出てきます。

また、法律関係が不確かなまま放置することになり、紛争の原因にもなります。
相続が発生したらできるだけ早く遺産分割を行いましょう。

◆決まった形式はない

手書きでもパソコンで作成してもよく遺産分割協議書の形式に特に決まりはありません。
ただし、遺産分割協議書は遺産分割の内容を証明し、登記手続きや銀行での手続きに使用する重要な書類です。
その後の紛争を予防するために内容を精査し、きちんと作成することをおすすめします。

方法としては、主に次の2つがあります。
 <ひな型を元に作成>
インターネット上で、遺産分割協議書のひな型をダウンロードすることができます。
遺産分割協議書の内容は相続財産、相続人の範囲、遺産分割の内容によって様々です。
内容が複雑であるためこの方法はあまりおすすめできません。
 <専門家に作成を依頼>
あらゆるケースに対応した経験豊富な相続手続きの専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書に必ず記載しておく事項

記載しなければいけない事項は大きく分けて3つです。

◆被相続人の表示

まず、誰の相続に関する遺産分割協議書なのかを明示します。
被相続人を特定するために、氏名だけでなく、本籍地、死亡時の住所、死亡年月日などを記載します。
氏名は登記申請のときに厳しくチェックされますので、戸籍・住民票の記載どおりに正確に記載する必要があります。

◆相続人の表示

相続人全員の氏名、住所などを記載して相続人を明確にします。
相続人全員が署名をし、実印を使って捺印する必要があります。
ここに誤りがあると、不動産の所有権移転登記や預金の名義変更を行う際に不都合が生じるおそれがあります。

◆相続財産の表示

どの相続人がどの財産をどのような方法で相続するのか、具体的に記載します。
財産を表示するときには、財産を確実に特定できるような形で記載しなければなりません。

例えば、不動産は、登記簿謄本のとおりに所在、地番、地目、地積、家屋番号などを記載します。
預貯金は、口座が特定できるよう、預け入れ金融機関、預金の種類、口座番号、口座名義などをできるだけ詳細に記載します。

相続財産が多い場合には相続財産の一覧が膨大になるので、記載漏れやミスがないよう、十分に注意しなければなりません。
遺産分割の方法には、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4つがあります。どの方法で分割するかも記載しておく必要があります。

後日新たな財産が発見された場合には、どのように相続するのかあらかじめ記載しておくことで、将来の紛争を防ぐ効果が期待できます。

不動産の名義変更をする際の必要書類

遺産分割協議によって不動産を相続し、法務局で名義変更の手続きを行う際は、遺産分割協議書のほかに次のものを添付する必要があります。

  1. 相続が発生したことおよび相続人を特定するための証明書<亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人の現在の戸籍謄本>
  2. 相続人全員の住民票の写し
  3. 代理人が申請する場合には、委任状

遺産分割協議書は、故人が残してくれた財産をどのように分割するか決めた内容を記載した重要な書類です。
もし遺産分割協議書に不備があると、相続人同士でのトラブルに発展しかねません。

協議事項を確実に書面化し、効力を生じさせるために、経験豊富な専門家である税理士法人アイビス 名古屋・岡崎市相続サポートセンターにぜひご相談ください。

関連ページ:遺産分割協議書の書き方


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