国際相続での遺言書の有効性
・国際相続の基本的な考え方
「相続は、被相続人の本国法による」と規定されています。被相続人が海外に住んでいた場合でも、国籍が日本であれば日本の民法に基づいて相続をします。
被相続人が外国籍の場合は、本籍がある国の法律で相続をします。
ただし、法の適用に関する通則法第41条では「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」と規定されています。
これは法律用語で「反致」と呼ばれるもので、被相続人が外国人であっても、日本に遺産があればその遺産は日本の民法で相続することになる場合もあります。
・国際相続で他の国の遺言書は有効になるか
遺言書は国ごとに方式が異なります。
そのため、国際相続では他の国の方式で作成した遺言書が有効になるかどうかを確認しなければなりません。
「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」と規定されています。故人が日本人であれば、遺言書が有効になるかどうかは日本の民法によって判断することになります。
一方、遺言の方式の準拠法に関する法律では、遺言が次の法律のいずれかに適合していれば日本においても有効であると定められています。
- 一行為地法
- 二遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
- 三遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
- 四遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
- 五不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
海外に移住した日本人が現地の方式で作成した遺言書は、現地の法律で有効なもの(行為地法に適合しているもの)であれば日本でも有効になります。
検認のほか相続登記や預金の引き出しでは、遺言書の日本語訳の提出も求められます。
・日本の遺言書が海外の資産に対して有効になるかはその国による
日本の方式で作成した遺言書が海外の資産について有効になるかどうかについては、その資産のある国の法律を確認する必要があります。
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