小規模宅地等の特例について⑧
小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった人)の自宅や店舗、事務所など、事業用に使っていた宅地につき大幅に評価額を下げてもらえる措置のことです。
不動産の評価額を下げることにより、結果として算出される税額も下がることになります。
適用するためには、原則として相続税の申告期限(被相続人の死亡から10か月後)までに遺残分割を済ませて税務署に申告書を提出する必要があります。
原則としては申告期限までに遺産分割を行う必要があるのですが、場合によっては申告期限を超えて遺産分割を行った場合でも小規模宅地等の特例の適用を受けられる場合もございます。それでは紹介しています。
申告期限までに遺産分割ができなかったが、分割見込書の提出がある場合
申告期限までに遺産分割ができなかった場合は、税務署に届け出ておく(分割見込書を提出しておく)ことで、後日遺産分割ができたときに小規模宅地等の特例を適用することができます。
まず、法定相続分で遺産を分けたことにして仮の申告をします。そのとき、「申告期限後3年以内の分割見込書」(以下、「分割見込書」と表記)を添付します。仮の申告では小規模宅地等の特例は適用できないため、特例を適用しないで計算した税額を納めます。
申告期限から3年以内に遺産分割ができた場合
申告期限から3年以内に遺産分割ができた場合は、小規模宅地等の特例が適用できます。仮の申告で納めすぎた税額がある場合は、遺産分割できた日の翌日から4か月以内に申告のやり直し(更正の請求)をして返してもらうことができます。
申告期限から3年以内に遺産分割ができなかった場合
次のようなやむを得ない事由があるときは、特例の適用までの期間を延長することができます。
- 遺産分割をめぐって法的な争いが起こっている場合
- 遺言で一定期間遺産分割が禁止されている場合
申告期限から3年を過ぎた日かの翌日から2か月以内に、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出して承認を受ける必要があります。
遺産分割ができないやむを得ない事由が解消したときは、その日の翌日から4か月以内に遺産分割を行います。
8回にわたり小規模宅地等の特例について紹介しましたが、如何でしたでしょうか。
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