祖母が遺した空き家に住みたい30代夫婦/名古屋の税理士法人アイビスが皆様のお役に立つ情報をお伝えします。
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2023年12月に「空家対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行され、対策の必要性が増す中、最近は「自分や家族が居住したい」「セカンドハウスとして利用したい」という人も増えているようです。
放置されていた空家を使う前に確認すべき点がいくつかあるのでご紹介します
必須といえるのが権利関係の確認です。
「両親が住んでいた家だけれど名義は祖父母のままという場合、叔父や叔母、その子などにも相続の権利があり、自由に使えない例もあります」
隣地境界線が明らかでないと、道路付けなどの問題で再建築不可となっているなど、建て替えができないケースも考えられます。
空家の登記事項証明書の確認を
空家の利活用をするために、まず空家の登記事項証明書の確認をしました。すると、空家の土地建物の名義はAさんの母ではなく、祖母のままであることがわかりました。
Aさんの母は3人兄弟で祖母の他界後、Aさん母が固定資産税を負担していますが名義変更はされていないようです。
遺産分割協議を経てAさん母が所有権を登記
Aさんの母とその兄弟の間で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成したうえで、相続登記をしてもらいます。
なお、2024年4月からは相続登記が義務化され、空き家の活用に関わらず、登記が必要です。
土地建物を母名義にし、建物を取り壊した後に、母から買う、借りるなどをしたほうがいいでしょう。
Aさん夫婦の利活用には3つの選択肢
1.Aさん母から土地を買い取る
土地を買い取り、その土地のうえに夫が建物を建てれば、土地建物の権利を一本化できます。
最もスッキリする形ですが、評価額に合った価格で売買する必要があり、1,000万円(評価額)以上の支払いが生じます。また、土地の取得費と売買価額の差額に対して、Aさんの母に譲渡所得が発生する場合があります
2.Aさん夫婦が贈与を受ける場合
Aさん夫婦が贈与を受ける場合は、贈与税がかかる可能性があります。
Aさんの母からAさんへの贈与では、建物の建築資金はAさん夫が出す想定のため、土地はAさん建物はAさんの夫と、土地建物名義が異なることになります。
建物建築分だけの負担で空家を利活用したいと考えている場合は、別途費用が発生する売買や相続時精算課税制度を利用できない贈与は見送ることにしたほうがいいでしょう。
3.土地は母から使用貸借
最後の選択肢は使用貸借です。
土地の名義はAさんの母のままで、Aさん夫がAさん母から無償で土地を借り、その上に建物を建てる方法です。
この場合は、土地の名義がAさんの母のため、住宅ローンの借り入れには、担保提供者としてAさんの母の承諾が必要となります。
またAさんの母が死亡した際の土地の名義についても対策が必要です。
Aさんは2人兄弟で、Aさん母が死亡した際、Aさんの母名義の土地について、兄弟が相続権を主張してくる可能性もあります。確実にAさんが相続できるように、Aさんの母には遺言書を作成してもらうなど、しっかり対策を講じたほうがいいでしょう。