相続人がいない場合の特別縁故者への財産分与/名古屋の税理士法人アイビスが解説
◇名古屋の税理士法人アイビス 相続サポートセンターがご説明します
相続人がいない(相続人があることが明らかでない)ことがあります。
戸籍からみて相続人が存在しない場合と、戸籍上は相続人が存在するが、その相続人が相続放棄、相続欠格、相続廃除によって相続人がいない場合などです。
この場合の相続財産は法人とされます。
これは相続財産の所有主が不存在となることを防止する法技術的な措置です。
相続人がいることが明らかであれば、その者が相続の開始を知ったか否かにかかわらず、相続財産は被相続人の死亡と同時に相続人の所有物となります。
しかし、相続人がいない場合は何らかの法的手法を講じないと相続財産は所有者のいないものとなってしまいます。
このようないわば真空状態を回避させるための擬制として民法は、相続財産は法人としたわけです。
相続財産法人となった場合は、財産の管理、相続人の捜索等の手続きを経て、その全部又は一部が被相続人の特別縁故者に分与されることがあります。
この場合の特別縁故者とは、
◆被相続人と生計を同じくしていた者
◆被相続人の療養看護に努めた者
◆その他被相続人と特別に縁故があった者
とされています。
具体的には、
◆被相続人の内縁の配偶者
◆どういつ生計であった親族
◆未認知の非摘出子
被相続人の子の配偶者などです。
もちろん被相続人の親族など血縁関係者に限られていません。
特別縁故者にあたるかどうかは、家庭裁判所の判断に委ねられていますが、いずれにしても財産分与を求めるには、書面による請求を要します。
なお、相続財産法人から特別縁故者に財産分与があった場合には、その特別縁故者は被相続人から遺贈により財産を取得したものとみなされて相続税の納税義務が生じます。
この場合課税上は次のように取り扱われます。
① 分与を受けた財産は、相続開始時ではなく、その分与時の時価で評価する。
② 相続税の課税上の基礎控除額や税率等は、相続開始時から分与時までの間に税法改正があっても、相続開始時に施行されていた規定を適用する。