不動産継承対策/名古屋の税理士法人アイビスが皆様のお役に立つ情報をお伝えします。
◇相続でお困りの皆さまへ 名古屋 相続サポートセンターへご相談ください
遺されて困る不動産 やっておくべき三つの対応策をご紹介します。
不動産はすぐには売れない?
土地の活用方法はさまざまですが、ほとんどの人が活用時点ではそれが一番良い方法であると考えて実行していると思います。
ただその時に、最終的な場面(売却する、相続するなど)まで想定して、準備と対策をしておくことが大切です。
次世代に「より良い不動産」を遺すことができます。
ケース1
東京都に住むAさんの例です。Aさんは農家であり土地をたくさん保有していました。
Aさんの子どもたちは農家を継ぐつもりがなかったため、Aさんは保有している農地をそのままではなく、活用したうえで引き継いだ方がいいと考えました。
そこでAさんは元々持っていた自宅や貸し宅地以外の土地を駐車場にしたり、
農地を宅地に転用して、アパートを建てたりするなどさまざまな活用をしました。
その後二十数年が経ち、Aさんから子どもたちに相続が発生。
子どもたちは相続税の支払いのために不動産の一部を売却する必要があったことから、不動産会社に売却の相談をしました。
その際、すぐに売却できそうなのは駐車場のみでした。
子どもたちは駐車場を一番残したいと思っていましたが、納税のための現金はなく、また、納税期限が迫っていたため仕方なく駐車場を売却することにしました。
納税後、残った不動産は売却するのが難しいだけでなく、管理の手間も多々あり、今後どうすればいいか分からず悩みました。
このような事態を回避するにはどうしたらいいのか。
不動産の活用方法と流動性
不動産は「自宅」「駐車場」「底地」「アパート」でした。
底地は購入者が借地人に限定されることなどから、流動性が低くなります。
さらに本件では、借地との境や隣地との境界線が未確定でした。
アパートは賃貸の管理状況が悪く修繕も行っていなかったため、すぐに売却することが困難でした。
不動産は活用することにより利益が得られますが、同時に関係者が増え、管理の負担が生じます。
そして所有している不動産への対応の有無やその内容が不動産の流動性へ大きく影響を及ぼします。
どのような活用方法であっても、その特性を見極めて先を見据えた対応をしていくことが大切なのです。
不動産継承対策の基本
それでは、次世代が遺されて困らない不動産を引き継いでいくためにはどうすればいいのでしょうか。
第一に「実勢価格の把握」です。
不動産にはさまざまな価格がありますが、そのうち実勢価格とは〝今この不動産を市場に出した場合に付く価格″のことです。
この価格は実際に取引が成立する価額であるという特徴を有し、物件によっては数週間・数カ月で変動する場合もあります。
実勢価額を定期的に把握することは、納税資金の目安になるだけでなく売却時期を見定めることができるメリットがあります。
信頼できる不動産会社へ依頼することが重要です。
第二に、「色分け」です。
これは、持っている不動産のそれぞれの状況を整理することです。
具体的には各不動産の収支状況、建物の状態、契約内容のど洗い出し、所有者の意向、相続人の属性や意見などを踏まえて、
不動産を「残したほうがいい」「将来的に手放してもいい」「早く手放した方がいい」などに振り分けます。
これにより、流動性の確保も含めた対策の優先度をつけることができます。
第三に、「条件整備」です。
これは底地などの流動性が低い不動産に対して、特に重要な対策です。
一般的に整備条件として重要なのは、①境界画定②分筆③契約書の整備④地代の妥当性検証です。
この整備をすることが必要となります。
ただし、この条件整備には隣接地権者や借地人ら、第三者の同意が必要となり、多大な時間を要することから、時間に余裕をもって対応する必要があります。
以上、三つの対策を行うことにより、相続時における納税財源のめどが立ち、次世代へより良い不動産を遺すことが可能となります。