特別寄与料に係る相続税の取扱い/名古屋の税理士法人アイビスが解説
◇名古屋の税理士法人アイビス 相続サポートセンターがご説明します
平成30年の民法改正により、相続人以外の親族が被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、相続人に対し特別寄与料の請求をすることができるようになりました。
今回は特別寄与料に係る相続税の取扱いについて考察したいと思います。
事例
相談者はAさんのお母様(以下C)、Aさんからみたら既に亡くなっている祖母(被相続人)、Aさんのお父様(Cさんのご主人)がすでに亡くなっているのでAさんは代襲相続人という立場で、
Cさんはお嫁さんの立場なので相続人ではないという事例です。
被相続人が生前中に、Cさんは一人で被相続人の面倒をみていたようで、特別寄与料の請求の権利があるのではないかと考えになったようです。
そしてその特別寄与料の請求を相続人全員に対してではなく、亡くなったご主人のご兄弟のBさんにされたいということですが、相続人全員に平等に請求しなくてもいいのでしょうか?
請求する相手は必ずしも相続人全員でなくても大丈夫です。
ただし、相続人が複数人いる場合は、各相続人の特別寄与料の額に相続分を乗じた額を負担することとされているので、Bさんに請求できるのは特別寄与料の額の2分の1ということになります。
仮に特別寄与料が1000万円だとすると、Bさんに対して500万円を請求するということになります。
当事者間で協議をすることもできますが、現実的に難しい場合は家庭裁判所に調停の申立てをします。
申立ての期限は、特別寄与者が相続の開始を知った時から6月以内または相続開始時から1年以内とされています。
特別寄与料の計算方法は、今回の場合は被相続人が要介護認定を受けていたので、第三者が療養看護を行った場合の日当額に療養看護の日数を乗じて計算します。
したがって、被相続人の生前の要介護の状態や推移、Cさんの日常的にどのような被相続人の療養看護を行っていたか詳しく説明できるように準備をしなくてはいけません。
特別寄与料が認められた場合、相続税の計算にはどのような影響があるか?
特別寄与料は被相続人から遺贈等を受けたものではないですが、実質的には遺贈に近いもであるため、相続税の計算上は被相続人から遺贈により取得した者とみなされ、相続税の課税対象になります。
寄与料の額が確定したら、その日の翌日から10カ月以内に相続税の申告をする必要があります。
ここで注意したいのがCさんは相続人ではないので、相続税の計算の際も2割加算となる点です。
特別寄与料を支払った側は相続財産から控除できます。支払う寄与料の額について、債務控除の適用を受けることになります。
相続税の申告後に特別寄与料の額が確定した場合には、確定したことを知った日の翌日から4カ月以内に更生の請求を行うことができます。