法定相続情報証明制度/名古屋・岡崎市の税理士法人アイビス 相続サポートセンターが解説
◇名古屋の相続相談は当社におまかせを!名古屋相続サポートセンターが解説
相続手続の際に必要となるさまざまな情報を紙一枚にまとめることができる制度です。
2017年にスタートして、当初は不動産登記の手続きでのみ利用可能でしたが、その後2018年からは金融機関の口座解約手続や相続税申告に2020年からは年金手続にと、徐々に利用範囲を拡大しています。
従来は、親や配偶者が死亡した際は、相続人は不動産登記の変更や相続税の申告、銀行口座の解約などのため、相続対象となる不動産を管轄する法務局や預金などのある金融機関ごとに、大量の戸籍書類一式をそろえて提出しなければなりませんでした。
相続情報証明書制度では、全国の法務局のいずれかに相続人全員分の本籍、住所、生年月日、続柄、法定相続分などの情報をそろえて一度提出すれば、偽造防止措置が施された法定相続情報の一覧図の写しが発行されることとなりました。
同制度のメリット
戸籍一式がA4用紙1枚の一覧図は何部でも発行されるため、複数の金融機関で同時に手続きを進めることもできる。
さらに受け取る金融機関や証券会社にとっても、いちいち戸籍から相続関係を読み解く必要がなくなるため事務処理がスムーズになり、結果として相続手続そのものが早く終わることにつながります。
一覧図の発行に手数料はかからず、5年以内であれば何度でも再発行される。
法定相続情報が使える手続きとしては
・相続税の申告
・遺族年金や未支給年金など年金の手続
・不動産の相続登記
・銀行口座の預金払い戻しや解約
・株式や投資信託の名義変更や解約
・自動車や船舶の名義変更
制度の開始当初は不動産登記にしか使えなかったことを思えばかなり使い勝手がよくなっているといえます。
注意点①
一覧図を作成するためには一度は戸籍謄本を収集しなくてはならない点は変わりありません。
また、法務局は一覧図の内容を承認してくれるだけであり、一覧図の作成そのものは自分で行わなければいけないことも負担です。
注意点②
一覧図は被相続人と法定相続人全員の関係がひと目で分かればよく、決まった書式などない。
ただし、書き方次第では手続きに使えない可能性もあります。
住所の記載は任意ですが、証明書を様々な手続きで利用していくことを考えると、断然あったほうが便利です。
また証明書に記載される被相続人と相続人の続柄を「子」と表記するのではなく「長男」「長女」「養子」など詳しい間柄を記載しておくのが無難でしょう。
注意点③
一覧図から読み取れない情報もある。
家系図方式ではなく、文字のみの列挙方式でも一覧図は認められるが、その場合、きょうだいで親が異なるケースなどを一覧図から読み解くことはできないので、
法務局はこのような場合、再度戸除籍謄本を求めることがあるので家系図方式で記載しておくほうがいいでしょう。
注意点④
放棄、廃除、代襲には効果なし
ほかにも相続情報証明制度ではカバーできない情報があります。
例えば相続放棄を選んだ人がいても、一覧図にはその事実が記載されません。
また、被相続人に対する侮辱行為などによって相続人から「廃除」された人であっても、一覧図には他の相続人と同様に記載されます。
代襲相続した孫の氏名が記載されない。
そのほか、日本国世紀をもたない人が関係者にいるケースでは当該者を証明書に記載することが困難です。
注意⑤
利用できない銀行もある。
銀行など多くの金融機関では戸籍謄本に代えて一覧図の提出を受け入れているが100%とは限らないので注意が必要です。
なかには銀行としては認められているものの窓口担当者の認識不足により謄本の提出が必須と説明されたケースもあるといいます。