不動産等、相続財産を売却したときの所得税の取り扱い/名古屋の税理士法人アイビスが解説
名古屋の税理士法人アイビス 相続サポートセンターがご説明します
今回は不動産等、相続財産を売却したときの所得税の取り扱いについて解説していきます。
まずは大枠からお話をすると、不動産を売却したときに、売った金額が、買った金額より高い場合、 つまり利益が出た場合には利益に対して所得税と住民税がかかります。
不動産を売却しても利益がでなかった場合には、所得税も住民税もかからず確定申告も不要です。
基本の税率
譲渡所得に対する税率は20.315%です。
15.315%が所得税、残りの5%が住民税です。
不動産を売却したことによる所得については、どれほど金額が大きくなったとしても税率は20.315%とされています。
しかし、ここで注意点があります。
その不動産を所有していた期間が5年未満の場合には、税率が39.63%まで増えてしまいます。
この取り扱いは、「短期的な土地の売買で儲けるのを阻止する」という趣旨で設けられています。
5年ぎりぎりで売却する場合は税務署や税理士に一度相談してみましょう。
補足ですが、相続した不動産を売却する場合には、相続したときから5年間で判定するのではなく、故人が購入した時点からカウントされます。
譲渡経費
不動産を売却する際にはさまざまな経費がかかります。
税金はあくまで儲かった金額に課税されますので、経費は当然儲けから引くことができます。
引くことのできる経費は以下のものがあります。
◆売却するために支払った仲介手数料
◆売主が負担した印紙税
◆土地を売るために、建物を取り壊したときの取り壊し費用
このように仲介手数料などの経費は譲渡所得から引くことができます。
なお、これまで支払ってきた修繕費や固定資産税、管理費などは引けないので注意してください。
詳細は国税庁のホームページにてご確認下さい。
建物については減価償却を考慮
土地を売却したときの税金は、次の計算式で計算します。
売却代金-購入金額-経費=所得(儲け)
この所得に20.315%の税金がかかります。
一方で建物については、この算式に減価償却を加味しなければなりません。
不動産売却の注意点
所得税と住民税の違いは支払うタイミングが異なることです。
不動産を売却した年の翌年3月15日までの確定申告で所得税は支払いますが、住民税の支払いはそこから3か月後の6月からです。
この微妙なズレに注意です。
なお、相続した不動産を売却する場合で、相続税申告が必要になる方の場合には、相続税の申告と、所得税の確定申告の両方が必要になります。