遺言執行者とは⑤
遺言執行者を選任する必要がある場合
遺言に「相続人廃除」や「認知」についての記載がある場合には、遺言執行者が必要です。
①相続廃除
相続廃除とは推定相続人(相続する権利を有する人)の中に、遺言者に対して虐待や侮辱、著しい非行などを行った人がいる場合に遺言者の意思によって、推定相続人に対して遺産を渡さない、つまり、相続人としての権利を奪うことを言います。
遺言によって相続廃除を行う場合には、相続廃除の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。そのため、遺言執行者の選任が必要です。
②認知
認知とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)を自分の子であると認める行為です。認知されると子として認められるため、相続人として遺産を受け取ることが可能になります。
遺言によって認知を行う場合には、認知届けなどの手続きを家庭裁判所で行う必要が あります。そのため、遺言執行者の選任が必要です。
遺言執行者がいてもいなくても良い場合
遺言に遺言執行者の選任の記載がない場合、相続廃除や認知に関する記載がなければ、遺言執行者が必要というわけではありません。
下記のような場合では、遺言執行者は必要ではなく、相続人が遺言の内容を実行することが可能です。
①遺贈
遺贈とは、相続人ではない人が財産を受け取ることを言います。法定相続人は配偶者と子ですが、孫にも遺産を遺したいと思い遺言に記載していた場合、孫に渡る財産は相続ではなく遺贈となります。
②遺産分割方法の指定
遺産分割は誰に何を相続(遺贈)するなどの指定です。ただし、相続人が遺留分を持っている場合、遺留分を侵害するような遺産分割を記載してしまうと、その部分に関しては無効となる可能性がありますので注意が必要です。
③寄与分の指定
被相続人に対して何かしらの形で奉仕していた相続人がいる場合、その相続人の相続分を増やして相続させることが出来ます。増やした相続分を寄与分といいます。この寄与分を受け取ることができる行為を寄与行為といいます。
なお、遺言がない場合には、遺言執行者を選任する必要はありません。遺言がないので遺産の分割は相続人同士での話合い(遺産分割協議)によって決定します。
遺言ですべて行える範囲になっていれば遺言執行者は必要ないということになります。
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